下請業者の保護と不公正な取引の認定基準

建設業界は、独特の重層下請け構造により成り立っており、下請け会社(個人事業主の場合も含みます)は元請会社に対して事実上劣位的な地位に立ち、元請会社は下請け会社に対して優越的地位に立つこととなります。

建設業界では、戦前・戦後の一時期の悪習として、元請(数次の下請け関係が成立する場合には、施主から見た場合には下請けでも、下位の業者から見れば元請的立場となる業者も含みます)の言うことに対して下請けは絶対的に服従し、原価割れの工事でも施工することを強要されるという事態が生じていました。いわゆる下請けいじめという問題です。

そこで、建設業法と独占禁止法では、下請けの立場を保護するために、不公正な取引を具体的に定めて禁止し、違法行為を行う建設会社には、違反行為の差し止めなどを命令することができることとなっています。

建設業法や独占禁止法が定める不公正な取引の認定基準としては、以下のようなものがあります。
まず、下請けの工事完了後、20日以内に検査を完了しないこと及び検査をしても直ちに工事目的物を受け取らないことは違法となります。

工事完成後は速やかに検査をし、代金を支払わなければ下請け業者は資金繰りに貧してしまいます。また、検査したとしてもそのまま放置されてしまっては、その後に瑕疵(きず)が生じたとしても下請の責任となってしまう可能性があります。

そのため、速やかな目的物受領義務が元請には課されています。また、原価割れの工事を強いること、代金の値引きを要求すること、購入資材を指定することなど元請が不当に利益を得る可能性がある行為は不公正な取引と判断されます。

さらに、下請けが不公正な取引をしたとして公正取引委員会へ知らせた場合にその故をもって不利益な取扱いをすることも禁止されます。いわゆる報復措置を取らせないための規制です。その他、特定建設業には支払期日が明確に定められているなど重い義務が課せられています。

このように重層下請け構造である建設業界においては、下請けの利益を守るための法律上の制度が存在しています。建設業界は、業界刷新の必要性が非常に強い業界であるといえます。その中で不公正な取引に対しては断固として立ち向かうことが将来の建設業界の活性化のために重要です。

不公正な取引があると感じた場合には、躊躇することなく、各種相談機関(商工会議所等で案内されています)に相談することが重要といえます。